メキシコを放浪していた頃のお話です。
時々日本人に出会うことがあったのですが、ある二人連れが話してくれたのは置き引きの話でした。
メキシコシティーにはたくさんのモニュメントがあります。
どれもでかい物で、上を見上げないとてっぺんが見えないくらいです。
広場にあるモニュメントには観光客が集まり、カメラを向けるのがメキシコシティーの日常の風景です。
私たちもよく知っている広場のモニュメントを、この二人連れも訪れました。
塔のように高いモニュメントを見るために、一人が手持ちのバッグを足の間に挟み、二人して上を見上げて目線をそのまま下におろしたら・・・・・・荷物を挟んだ足の間に空間ができている。
バッグがない!
上を見上げて下を見るまでわずか2、3分です。
足に挟んでいたのに、全然気が付きませんでした。
慌ててまわりをきょろきょろと見回しても、見覚えのあるバッグを担いでいる人間はどこにもいない。
でも、誰かがバッグを盗んだはずです。
どこかに犯人がいるはずなのに、どこにいるのか分からない・・・・・・
警察に一応行ったそうですが、バッグは二度と帰ってくることはないのを、彼らはよく知っていました。
犯人はバッグを足の間から引き抜いたあと、すぐに他のバッグに入れて隠したか、そばの路地に入り込んだのでしょう。
引き抜いた犯人が彼らの目に映っていたのかもしれませんが、彼らにはわからない。
他にも観光客はいたのですが、誰も気がつかなかったようです。
ほんの数分の間に起こった出来事に、彼らは頭をひねっていました。
プロが仕事をすると、鮮やかなものです。
バッグは足に挟んでも安全ではないという教訓を教えてくれた体験談でした。
足に挟んでも盗られることがあるのですから、荷物から眼と手は離さないようにしましょう。
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