まるい地球の旅行術

これは私の体験談です。
そして、明日あなたに起こるかもしれない、よくあるシチュエーションです。
アメリカを友人と旅行中、フラッグスタッフ(グランドキャニオンへの入り口の町)で、3人の日本人男性を見かけました。
国際免許証をひとりが持っていたことから、みんなで割り勘にしたらレンタカーでモニュメントバレーへ行けると話が盛り上がり、早速翌日モニュメントバレーヘ。
運転手は安全運転で、あの有名な、どこまでもまっすぐな道路の真ん中で記念撮影したり、モニュメントバレーの独特な景色に我を忘れたり、みんな、十二分に日帰り旅行を楽しんでの帰り道。
ずっと交通量の少なかった道からフラッグスタッフの町に入り、車が道路を右折したときに、それは起こりました。
右折した後走っているのは、道路の「左側」
私が慌てて「右 ! 右 ! 」と叫ぶ声に、しかし、誰もリアクションを起こしません。
左側は、ちょうど車がいなかったんです。
向こうからやってくる車に気付いてから、車の中はパニックになりました。
「「「わあっ !」」」
こっちもパニック状態でしたが、向こうから来た車の運転手も度肝を抜かれたでしょう。
突然、自分に向って走ってくる車を視野に入れたんですから。
運転歴の長い、我々の運転手が咄嗟に車を左に寄せ、対向車をやり過ごしました。
ほっとしたみんなはしかし、先ほどのショックから立ち直れず、車の中でしばし呆然としています。
「右って言ったでしょ !」
右折した直後に大声で警告した、私の抗議の声に帰ってきたのはみんなの
「全然気がつかなかった」の一言でした。
運転手も「日本の習慣で、無意識に左側に入ってた」と。

うちのダンナは豪快なことをオーストラリアでしています。
いつもは右側交通のドイツから、左側交通のオーストラリアへ。
イーストコーストのケアンズから100キロほど北上したある村へレンタカーを走らせたのは、車が少ないので有名なオーストラリアの郊外道路。
本人、自分が反対車線を走っているのに全然気づかずに、村まで行って帰って来ました。
ときにはまる一日車を見ることがないオーストラリアの郊外だから、こんなことが起こり得るのですが、運がよかったともいえます。
相当のスピードですっ飛ばしていたそうですから、同じく相当のスピードの車が左側を正しく走ってきていたら、事故は免れなかったでしょう。
こういう事故を防ぐために、私が考えた方法があります。

私が旅行会社に勤めていたころに、新婚旅行でハワイに行くお客様から、レンタカーが借りたいと注文がありました。
勿論、私は「止めたほうがいいですよ」と、私の体験談を話してあげました。
初めての海外旅行で安易にレンタカーを走らせれば、日本に帰ってくるときには棺桶の中に入っているかもしれませんからね。
それも、新婚旅行ですよ。
でも、どうしてもレンタカーが借りたいとのご注文で、
「それなら、絶対こうしてくださいよ」
と、お客様に反対に注文をつけた、事故防止の方法とは、

1. フロントガラスかどこかに「右」と書いた紙を張り付けて、右折、左折の際によく見えるようにしておく。
2. 道路を曲がるときは常に、「右」「右」と自分に言い聞かせる。

無事事故もなく帰国したお客様がお礼の品を手に私を訪ねてこられたとき、私の「大丈夫でしたか?」の問いにこう答えてくださいました。

「あの紙を見ながら右、右と言い聞かせてました。それでもやっぱり危ない時はありましたよ。でも、曲がる度に家内があの紙を見ながら「右」「右」って言ってくれたので、大丈夫でした」

ひとりでは出来ないことも、二人なら大丈夫です。
海外でレンタカーを走らせる時には、この方法を試してみてください。

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